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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のヨウ素による内照射治療

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の放射性ヨウ素治療について、いくつかの疑問にお答えいたします。

Q放射性ヨウ素治療とはどのようなものですか
A 海藻にはヨウ素と呼ばれる栄養素(ヨードと呼ばれることもあります)がたくさん含まれています。食事から入ったヨウ素は甲状腺に集まり、そこで甲状腺ホルモンが作られています。放射性ヨウ素も食事のヨウ素と同じ性質をもっているので、薬として服用すれば同じように甲状腺に集まります。
しかし放射性ヨウ素と食事中のヨウ素の違いは、放射性ヨウ素がベータ線と呼ばれる特殊な放射線を出すことです。これが甲状腺を部分的に破壊し、ホルモン合成を抑える働きをします。これがヨウ素による内照射治療の原理です。放射性ヨウ素のほとんどの放射線は甲状腺が受けます。
Q 服用した放射性ヨウ素はどうなりますか
A 放射性ヨウ素は、ほとんどが甲状腺に集まり、一時的に身体の中に残ります。
一方、甲状腺に取り込まれなかった放射性ヨウ素は、最初の1日間でほとんどが尿中に排泄されます。身体の中の放射性ヨウ素はしだいに減っていき、治療が終わったときには身体の中には放射能は残っていません。
Q 治療前にどのような準備が必要ですか
A 検査の2週間前からヨウ素を含まない食事(ヨウ素制限食)が必要です。ヨウ素を多く含むこんぶ、わかめ、のりなどの海藻類と、そのだしや寒天などの加工食品を避けてください。
その後甲状腺のヨウ素の取り込み率と甲状腺の写真撮影(シンチグラフィ)をし、ちょうど良い治療量を決めます。なお、ヨウ素制限食は治療終了の1週間後まで続けてください。
Q 治療はどのようにしますか
A 放射性ヨウ素が入ったカプセルを服用するだけです。ヨウ素は微量であり、ヨウ素過敏症の人でも安心して治療できます。簡単な治療であり、副作用はありません。
Q 入院期間はどのくらいですか
A バセドウ病の治療には通常4-8週の入院期間が必要です。ただしこの期間は甲状腺機能亢進の症状の強さにより異なります。ヨウ素治療のみを行なう場合は短期間の入院になることもあります。
いずれにせよ、甲状腺に集まらなかった放射性ヨウ素のほとんどが尿に排泄されるため、専用の治療病室に最低1日の入院が必要です。入院期間は状況により異なりますので、担当医と相談してください。
Q 治療効果はどのように現われますか
A 放射性ヨウ素治療の効果はゆっくり現われます。早ければ2週間くらいで機能が下がり始め、半年くらいまで徐々に甲状腺の働きが下がっていきます。
甲状腺腫の大きさは、治療により縮小します。これは抗甲状腺薬にみられない効果です。
この治療により甲状腺機能は確実に下がりますが、放射性ヨウ素の効果には個人差があります。

効き足りなければ?
効き足りなければ放射性ヨウ素の再治療を行ないます。あるいは少量の抗甲状腺剤を服用します。

効き過ぎれば?
効き過ぎる場合には、甲状腺機能低下症になります。このときは足りないホルモンを補うために、甲状腺ホルモンを生涯飲み続ける必要があります。
一般に、甲状腺機能亢進症が確実に直る量の放射性ヨウ素を服用すると、機能低下の可能性は避けられません。
ただし、適量のホルモンを飲んでいれば副作用は全くなく、普通の人と同じように生活できます。また、身体の管理も抗甲状腺薬を飲み続けるよりは容易です。

Q 放射能により将来、癌になることはありませんか
A その心配は全くありません。放射性ヨウ素治療はすでに長年にわたって行なわれており、安全性が確認されています。
Q 家族など周囲の人は放射線の影響を受けますか
A 服用直後の入院だけで、実際上は問題がありません。ただし、身体の中に残った放射性ヨウ素からはわずかの放射線がでます。ごくわずかとはいえ、周囲の人に不要な放射線の影響を与えないため、最初の2、3日間だけ、トイレの後など良く手を洗うなど清潔にすることに御配慮ください。
Q 治療後妊娠しても、赤ちゃんに影響はありませんか
A 全く問題ありません。過去の治療経験からも、生まれた子供に奇形が多くなるなどの悪影響が出ることはありません。ただし、治療後の半年間は、甲状腺機能のコントロールのため、妊娠を避けることが勧められます。
Q 治療後の甲状腺機能および健康の管理はどのようにしたらよいですか
A ヨウ素治療は安全な治療法です。ただし、治療後の半年くらいは甲状腺機能が変化しますので、その時の状態にあわせて対処する必要があります。仕事を軽減したり、休息が必要な場合もあります。
放射性ヨウ素治療後は長期的に見て、甲状腺機能低下症が高率に発生します。このため、一旦機能が正常化しても通院を中止することなく、経過観察を受けることが大切です。