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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療

金沢大学附属病院核医学診療科の患者さんへのご説明に用いております。
患者さんの甲状腺や全身の状態により適応や注意点は異なりますので、必ず専門医にご相談ください。

甲状腺が甲状腺ホルモンを必要以上に作りすぎる病気がバセドウ(Basedow)病です。
またはグレーヴス(Graves)病とも呼ばれます。

次の3つの治療法があります。

安静を保ってください。安静も治療の1つです。

くすり(抗甲状腺薬)による治療

抗甲状腺薬の種類と効果
  1. 甲状腺ホルモンを作りにくくする薬に、チアマゾール(メルカゾールTM)とプロピルチオウラシル(プロパジールTMまたはチウラジールTM)の2種類があります。一般にメルカゾールから使用します。理由は、プロパジールに比べ、早く効き、薬の量が少ないため副作用を減らすことができ、1日1回飲めばよいためです。
  2. 10週後までに甲状腺ホルモンの量はほぼ正常に戻ります。少なくとも2年間は薬を続けてください。
  3. 2年後に患者さんの約半数が薬を中止できます。しかし、薬をやめてから2年以内に約4人に1人が再発します。したがって、甲状腺ホルモンの量を正常に保つために薬を一生続けなければならない場合もあります。
妊婦の治療
  • 妊娠中にメルカゾールを飲んでも安全です。むしろ、バセドウ病を治療することにより奇形が少なくなります。
  • 特に注意して治療する必要があるので、2週毎に受診して頂きます。また、お産の後にはバセドウ病が悪くなるので、お産の1ヵ月後には必ず受診してください。
  • メルカゾールは母乳に移行しますが、1日10mg(2錠)以下の量であれば母乳を与えることができます。これ以上の量を飲んでいる場合は乳児の甲状腺ホルモンが足りなくなるおそれがあるので授乳できません。
副作用
  • 皮疹(薬による皮膚の発疹)が最も多くみられます。
  • 肝炎、血管炎、SLE様症状(発熱、関節痛、紅斑など)がまれに起こります。
  • 白血球の一つである顆粒球がなくなる無顆粒球症がまれに(約1000人に1人)起こります。この場合、細菌と戦う力がなくなるので高い熱が出てのどが痛くなります。薬の開始後3ヵ月以内に起こります。もし38℃をこえる熱が出た場合には薬を中止し、直ちに受診してください。国内でも、10人以上の死亡例の報告があります。
抗甲状腺薬による副作用の症状
すぐに受診すべき症状
扁桃炎、のどの痛み、突然の高熱、体がだるい 無顆粒球症の可能性
青あざ、皮下出血 再生不良性貧血の可能性
黄疸(白眼が黄色くなる、尿の色が急に濃くなる)、食欲がない、吐き気、発熱 肝障害の可能性
できるだけ早く医師に報告すべき症状
発疹、かゆみ、発熱、筋肉、関節の痛み  

アイソトープ(放射性ヨード)治療

「放射性ヨード」というアイソトープを中に封じ込めたカプセルを一回内服するという簡単な方法です。

放射性ヨードとは?
  • 甲状腺は海草類などに多く含まれているヨードから甲状腺ホルモンを作ります。このヨードの仲間に放射線を出すヨードがあり「放射性ヨード」と呼ばれ、甲状腺に集まります。「放射性ヨード」から出る放射線の影響は甲状腺にしかおよばないという特徴があります。このために甲状腺だけが壊され、その結果、作られる甲状腺ホルモンの量は少なくなります。
  • 甲状腺に集まった「放射性ヨード」による放射能はほぼ5日ごとに1/2の量に減り、やがて無くなります。
治療の効果
  • バセドウ病を必ず治すことができます。
  • 放射性ヨード治療により甲状腺細胞を部分的に壊し、甲状腺ホルモンを作り出す力が弱くなります。この結果、治療後年数が経つにつれて、甲状腺機能低下(つまりホルモンが不足すること)になる人が増えます。その場合、甲状腺ホルモン剤を一生飲み続けなければなりませんが、ホルモン剤による副作用はありません。
  • 甲状腺の放射線の効きやすさは個人によって異なるため、効きが悪いことがあります。この場合、再投与することにより治すことができます。
  • 抗甲状腺薬治療と異なり、甲状腺の腫れを小さくすることができます。
副作用
  • この治療により癌になることはありません。
  • 不妊になったり、子孫に影響することもありません。したがって、将来出産する女性にもこの治療は安全です。ただし、放射性ヨード治療後甲状腺機能が正常化するまで(約半年くらい)は妊娠を避けてください。

小児にも安全であり、抗甲状腺薬を使えない時にはこの治療法を選びます。
妊娠中と授乳中にはこの治療を行うことができません。

外科治療(甲状腺亜全摘)

  • 甲状腺の大部分を切り取ります。安全に手術するために前もって内科的に治療します。
  • 手術の後に甲状腺機能低下になる人の数が年数が経つにつれて多くなります。このため、術後に定期的に診察を受けて下さい。

治療法の選択について

  • 抗甲状腺薬による治療から始めます。副作用のために続けられないときや効かない場合に放射性ヨード治療を行います。
  • 周期性四肢麻痺、心疾患や糖尿病を合併している場合は、それらを良好にコントロールするためにバセドウ病を先に治さなければなりません。このため、必ず治すことのできる放射性ヨード治療を選びます
  • 短期間に確実に治すことを望まれる方には、放射性ヨード治療を行います。
  • 手術はバセドウ病に甲状腺腫瘍を合併している場合にのみ選びます。術後にバセドウ病が再発した場合には、放射性ヨードで治療します。

このほか不明の点や,知りたいことがありましたら,担当の医師にご相談下さい。