核医学診療科では甲状腺疾患以外にも、以下の疾患への核医学治療を行っています
いずれもベータ線やアルファ線という放射線を出す放射性医薬品(アイソトープ治療薬)を投与して行います。
適切な配慮の元に行えば、副作用の比較的少ない治療です。
「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」の患者様を対象に、ルテチウムオキソドトレオチド注射液(ルタテラ®静注)を用いた治療を2021年10月から開始しました。ルテチウムオキソドトレオチド注射液は177Lu(ルテチウム)を用いたペプチド受容体放射性核種療法(Peptide Receptor Radionuclide Therapy: PRRT)製剤です。海外では以前から治療実績があり、日本では2021年6月に製造販売承認され、9月から保険診療が開始されました。
ご興味のある患者様は、本治療が行えるかどうか、ご自身の主治医にお尋ねください。当科では、ご紹介いただいた患者様に対して外来にて説明(および必要に応じて検査)を行った上で治療を検討いたします。
・患者様の紹介方法(医療関係者向け情報)
・当科の先生への取材記事
http://nucmed.w3.kanazawa-u.ac.jp/news/detail.php?news_id=262
・当科の先生の文献 https://doi.org/10.11226/ojjaes.40.1_2
難治性の褐色細胞腫やパラガングリオーマに対するMIBG治療
・日本内分泌外科学会雑誌 2023年 40巻 1号 p.7-11
https://doi.org/10.11226/ojjaes.40.1_7
・日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 2022年 39巻 2号 p.110-115
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesjsts/39/2/39_110/_article/-char/ja/
前立腺癌は進行すると骨転移を多くの患者さんで発生させます。
骨転移は大きくなると、いろいろな原因で痛みを生じさせます。痛みが発生した場合は、鎮痛剤、オピオイド(麻薬性鎮痛剤)、放射線照射などにより除痛を行いますが、これらの治療で充分対応できないことが多々あります。痛みは生活の中で行動制限や精神的ストレスなどの弊害に直結する重要な問題です。
ゾーフィゴはそのような場合のアイソトープ治療薬として認可され、本院でも使用可能になりました。
骨転移のある場所にこの薬剤(ラジウム-223、223Ra)が集まり痛みに関連する要因を取り除いてくれます。外来にて注射を行うだけの簡単な治療です。
適応などの詳細は本院核医学診療科へお問い合わせ下さい。
CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫に対して行う国内初の放射性アイソトープ標識抗体治療薬です。化学療法やリツキサンが有効でなかった患者さんの約80%の方に効果が発現し、約60%の患者さんで治癒が期待できます。
ゼヴァリンは2008年8月に保険診療として供用開始されました。本院でも直ちに使用可能な体制を整え、9月に治療を開始しています。
ゼヴァリン治療適応などに関しては、大学病院で診ていただいている患者さんは主治医の先生にお尋ね下さい。
他院で診ていただいている患者さんで十分な情報が得られない場合は、本院血液内科にご相談下さい。