Case YT03
弾性線維腫
Elastofibroma
症例解説と読影のポイント
- 病歴
- 60歳代の女性、PET-CTによる人間ドックを受診した。
- 家族歴、既往歴、診察所見の異常、自覚症状はなし。
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- 画像をどう読むか
- CTでは、肋骨と肩甲骨下部との間に半球状で筋肉と同等の吸収値を示す腫瘤を認め、腫瘤内部に脂肪と同等の線状の低吸収域が混在する。
- FDG-PETでは、腫瘤部に一致した軽〜中等度の集積亢進を認め、今回はSUV値で早期像は2.9、後期像は3.1だった。
- 解説
- Elastofibromaとは?
- Elastofibromaはほとんど例外なく肩甲骨内側下部の軟部組織から発生する特異な腫瘍病変であり、Elastofibroma dorsiと呼ばれることが多い。肩甲骨と肋骨との機械的刺激により発生する線維性偽腫瘍と考えられている。
- Elastofibromaは中高年の女性に好発し、重労働者の利き腕に多い。50%以上は無症状で、腫瘤を自覚したり痛みなど症状があって臨床的に遭遇するのはまれ。
- 画像所見
- 胸部CTでは60歳以上の無症状者で2%、部検では55歳以上の女性の24.4%、男性の11.2%に認められると報告されている。
- MRIではT1、T2強調画像で筋肉と同等の信号を示し、内部に脂肪を示唆する網状、スリット状の高信号域を伴う。腫瘍内血管の増加により様々な程度に造影される。
- まとめ
- Elastofibromaは知ってさえいれば、診断は可能である。
- 不必要な生検、手術を避けるためにもElastofibromaのCTやFDGの所見を認識しておく必要がある。
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Update: May 20, 2007