Case TT08
自己免疫性膵炎
Autoimmune Pancreatitis
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- X線CT:膵頭部から体尾部にかけてびまん性腫脹を認める。造影早期像にて膵癌を思わせる病変は認められず、膵実質は全体的にゆっくりと染まる。
- ERCP:膵頭部から体部中央にかけて、主膵管の不整な狭細像を認める。二次分枝の途絶は認められない。
- 18F-FDG-PET(治療前):膵頭部にFDGの強い集積を認める。膵体部から尾部にかけても淡い集積を認める。
- 18F-FDG-PET(治療後):明らかなFDG集積は認められない。
- 解説
- 本症例は、膵癌が疑われFDG-PETが施行されたが、免疫学的検査により自己免疫性膵炎の診断となった症例である。
- 自己免疫性膵炎は慢性膵炎の特殊型として分類されており、形態学的、免疫学的、また組織学的所見に基づく診断基準を持つ。今回の症例は、全二者の診断基準を満たしていた。(ERCP像、高ガンマグロブリン血症)
- 膵炎症状に乏しく、総胆管狭窄に伴う閉塞性黄疸や上腹部不快感が主な主訴であり、また、糖尿病合併症例が多い。中高年に多く、予後は比較的良好である。
- 自己免疫性膵炎のFDG-PET像はNakamotoらが6例のFDG-PET所見を報告しており、その中では、4例でびまん性集積、1例で膵頭部への局所的集積を認めたとしている。また、高須らはステロイド治療前後でのFDG-PET像の変化を報告しており、我々の経験した症例と同様に、治療後にFDG集積は消失していた。
- 自己免疫性膵炎においては、組織学的には膵実質へのリンパ球、形質細胞の浸潤が見られ、その活動性が膵へのFDG集積の程度、時期による違いとして表れているものと考えられる。
- 文献
- Nakamoto, et al. FDG-PET of autoimmune-related pancreatits:preliminary results. Eur J Nucl Med 2000;27:1835-8
- 高須 他 ステロイド療法が奏効し、治療効果をFDG-PETにて判定しえた自己免疫性慢性膵炎と思われる1例 膵臓 2000;15巻:459-465
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Update: Apr. 21, 2003