Case ST03
Subacute phase of cerebral
infarction, 脳梗塞亜急性期
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- Gaシンチでは右頭部に著明な取り込みを認める。両腎の取り込みは、検査に先立って施行された輸血の影響と考えられる。
- Gaシンチとほぼ同時期(2月7日)の頭部MRIでは、右中大脳動脈領域にT2強調像およびFLAIR(図上段)で高信号、T1強調像でやや低信号、造影(図中段)で皮質にそった造影パターンを示す異常信号域を認めた。
- 同部はGaシンチの20日前(1月13日)のMRIにて、T2強調像で異常なく、拡散強調像(図下段)のみで高信号を示した。
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- 以上のMRI像は、典型的な脳梗塞の経過と考えられ、Gaシンチ施行時には脳梗塞亜急性期であったと考えられる。
- したがって、Gaの取り込みは右中大脳動脈領域の亜急性期脳梗塞巣への取り込みであったと思われる。
- 本例は左後頭葉にも若干時期の異なる梗塞(亜急性期〜慢性期と思われる)がMRI上明らかであるが、同部位へのGaの取り込みは軽度であった。
- 読影のポイント
- 神経症状を伴う患者におけるGa-67の頭部への取り込みなので、シンチのみからは脳膿瘍、またlymphomaなどの脳腫瘍も鑑別にあがる。
- しかし、MRI像およびその経過から、脳梗塞の診断は容易と思われる。
- 解説
- 本例は、亜急性期脳梗塞にたまたまGa-67が取り込まれたという症例である。
- 脳梗塞へのGaの取り込みの機序はBBBの破綻や局所の炎症反応などが関与していると推測されているが、明らかにはなっていない。
- しかし取り込むという事実は文献的にも確認されている。ただ、その頻度は35%-100%と報告によりまちまちである。脳梗塞の場合は、その発症時期や血流の再開通の有無などで取り込みが左右されると想像される。
- 本例でも2カ所の梗塞には集積の程度に差異が認められる。したがって母集団が異なればその取り込みの頻度も変化してしまうと思われる。
- 通常、脳梗塞の診断にGa-67が使用されることはない。しかし、脳梗塞自体は比較的頻度の高い疾患であり、本例のようにincidentalに脳梗塞への取り込みに遭遇することも考えられる。Ga-67の読影に携わる臨床医は、Ga-67は脳梗塞にも取り込みうるという事実は知っておくべきであると考えられた。
- 参考文献
- Waxman AD, et al. JNM 1973;12:903-906
- Richard CR, et al. Radiology 1974;639-641
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Update: Nov 20, 2002