Case IA03
中枢神経リンパ腫もしくは悪性リンパ腫の再燃疑い
Suspicious of CNS lymphoma or relapse of malignant lymphoma
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- X線CT:小脳虫部に造影効果を有する腫瘤を認める。
-
MRI:左前頭葉深部白質と小脳虫部にT1低信号、T2高信号の腫瘤を認める。腫瘤辺縁には浮腫によるT2高信号が認められる。T1造影にて比較的均一な濃染が見られる。
- 123I-IMPシンチグラフィ:早期像では小脳虫部の病変に周囲脳組織と同等かやや軽度の集積が見られる。遅延像では集積は著明に増加し、明瞭な集積異常を示している。
- 201Tlシンチグラフィ:小脳虫部の病変に早期像、後期像ともに中等度の集積があり、悪性病変が疑われる。
- 18F-FDG PET:小脳虫部、左前頭葉白質に集積を認める。悪性腫瘍として矛盾しない。
- 臨床経過
- 上記診断により、当院血液内科に転科し、化学療法(CHOP療法)を開始した。1コース終了時には、意思疎通はやや改善した。3コース終了時のMRIでは、小脳病変の消失、左前頭葉病変の縮小が見られた。以上の臨床経過より、悪性リンパ腫の再燃として矛盾しないと考えられた。
- 解説
- 123I-IMPの脳組織への集積には局所血流量、pH勾配、高容量アミン受容体の密度などが関与しているとされるが、詳細な集積機序は依然として明確ではない。
- 頭蓋内腫瘍については脳実質と比較して低集積、もしくは無集積となることが多いとされるが、悪性リンパ腫、髄膜腫、下垂体腺腫、低悪性度の星細胞腫で集積を認めたとの報告がある。
- 髄膜腫、下垂体腺腫、星細胞腫においては早期像にて集積が見られ、後期像での集積低下が見られるとされる。これは早期像での集積すなわち123I-IMPの取り込みには局所脳血流量が、後期像での集積すわなち123I-IMPの保持にはpH勾配、高容量アミン受容体などが関与していると推察されている。
- 悪性リンパ腫については、早期像から集積が認められたとする報告や早期像は低集積で後期像にて集積が認められたとする報告があり一致していない。上記の集積機序が複合的に関与していると考えられるが詳細は不明である。
- 文献
- Nakano, S., et al., Unusual uptake and retention of I-123 IMP in brain tumors. Clin Nucl Med, 1988; 13: 742-7.
- Yamamoto, Y., et al., Malignant lymphoma of the central nervous system with delayed increased accumulation on I-123 IMP SPECT. Clin Nucl Med,
2001: 26: 105-8.
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Update: Jun 16, 2010