第56回　核医学画像カンファレンス

-MIBG・MIBI発売10周年記念講演会-

2003年8月30日 15：00-18：00、金沢ニューグランドホテル　５Ｆ銀扇の間

教育講演I　

• ミオMIBGの臨床応用に際しての基礎的事項
  • 金沢大学バイオトレーサ　滝　淳一　先生
    • MIBG心筋シンチグラフィ施行に際しての基礎的事項について以下の観点から解説する
      • 1)技術的側面
      • 2)臨床的側面

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• 心不全のβブロッカー療法と心臓核医学
  • 国立循環器病センター　放射線診療部　石田良雄　先生
    • 本講演では、 我々の成績に基づいて以下の点を明らかにする
      • 1) 心臓からのMIBGクリアランスが心不全における交感神経活動亢進の良い指標となる
      • 2) そのクリアランスの半定量的指標として15分初期像から3.5時間後期像への心臓からのMIBG洗い出し率(WR, %)が有用である
      • 3) 同指標は心不全の ブロッカー療法において治療不忍容例の予測に役立ち、また治療後の心機能改善に随伴してWRの正常化が観察されることから治療後モニタリングにも役立つ

教育講演II

• ^99mTc-sestamibiを用いた心臓核医学検査法- gated SPECTからwashoutまで-
  • 日本医大　放射線科　汲田伸一郎　先生
    • Sestamibiを用いた心電図同期SPECT (gated SPECT)を用いることにより再現性の高い左室機能，左室容量を算出することが可能である。
      
    • Gated SPECTの収集時間を短縮することにより，薬剤負荷時の左室機能を経時的に捉えることも可能である。臨床応用例として，虚血例における低〜高用量Dobutamine負荷による罹患冠動脈枝診断，心筋梗塞例に対するOlprinine負荷による左室反応性評価，川崎病例に対する低用量Dobutamine負荷などをご呈示したい。
      
    • ミトコンドリア細胞質間が過分極状態にあるとsestamibiは細胞内に取り込まれ滞留するが，脱分極するとsestamibiの細胞内への取り込みと滞留は阻害される。一方，不可逆的障害を受けた細胞ではsestamibiのクリアランスが亢進する。これらのことから障害心筋ではミトコンドリアのsestamibiを保持する能力が低下してsestamibi washoutが亢進する可能性が示唆される。
    • 基礎実験における心不全ラットおよび臨床の慢性心不全例におけるsestamibiの心筋washoutに関する検討結果を報告したい。
      

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• 虚血性心疾患のリスク層別化
  • 兵庫県立姫路循環器病センター　循環器科　梶谷定志　先生
    • 急性冠症候群はリスク分類が必須である。その根拠として、リスクの高低により治療戦略が異なるべきであるとのエビデンスがある。
    • 急性冠症候群のリスクとは微小冠循環障害の有無と関連する。
    • 心筋血流シンチは微小冠循環障害と心筋細胞機能を反映しており、リスク分類手段として最もすぐれている。
      

特別講演

• Clinical Decision Makingのための心臓核医学
  • 医療法人誠心会　萩原中央病院　院長　福山尚哉　先生
    • 臨床診断を必要最小限の情報や検査結果に基づいて効率的に進めて行くことは、医療費の高騰が問題視されている今日、緊急の社会的ニーズである
    • 虚血性心疾患は入院治療を要する循環器疾患の過半数を占めており、その効率的な診断と治療は循環器診療の分野において、最重要の課題である
    • 多くの臨床情報に基づいて検査前確率を予測し、その確率に応じて最適な検査を選択することが効率のよい診断と治療につながる
    • 心臓核医学検査は中等度の検査前確率を示す症例に対して最も効率的な検査法である
    • 心臓核医学検査の適切な応用は、不必要な冠動脈造影を避け、冠血行再建術を必要最小限にとどめることが出来、患者に対する不要な治療のリスクを減らし、かつ医療費の大幅な節減を可能とする。

総合討論

• 効果的な心臓核医学の使い方
  • I-123 MIBG, Tc-99m MIBIは発売10年を経過しその利用も定着している。現状で、これらの薬剤をどのように用いるのが最も効果的か、この領域で豊富な経験をもつ第一線の専門家の先生方とともに考える予定である。
  • I-123 MIBGは虚血性心疾患、心筋症を中心に広く利用されている。
    • もっとも効果的な利用法は？
    • 心不全に対するMIBGの予後評価の価値は確立されているのだろうか
  • Tc-99m MIBIによる虚血診断上の価値を考える。
    • 他のモダリティと比較して心筋SPECTをもっとも活かせる使い方は？
    • リスクの層別化にどのように用いるか
    • PCI, CABG,薬剤治療効果の評価に心臓核医学は有効か？
    • 臨床医にとって核医学の心事故に関する予後予測は本当に有用だろうか？
      

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