Case YT02
骨シンチにおけるブルタールによるびまん性肝集積
Diffuse liver accumulation in bone scintigraphy due to Blutal
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- 骨シンチ:肝臓にびまん性の淡い集積を認める。脾臓にも集積あり。
- 解説
- 骨シンチで肝にびまん性の集積を認める原因として以下のことが挙げられる。
- びまん性肝壊死
- 転移性肝腫瘍
- 転移性石灰化
- アミロイドーシス
- 造影剤の投与
- 肝シンチグラフィーの重複
- ジェネレーターからのアルミニウムの溶出
- 鉄剤の投与
- 今回、CTにて肝には明らかな異常所見はなく、肝機能も正常であり、びまん性肝壊死、転移性肝腫瘍、転移性石灰化、アミロイドーシスは否定的である。造影剤の投与はなく、肝シンチの重複はない。本症例では骨シンチ検査日にブルタールが投与されていたことから、ブルタールによる肝集積と診断した。
- ブルタール1A10ml中には、コンドロイチン硫酸・鉄コロイドが鉄として40mg含有される。MDPキット中のSnCl2がブルタールと関与し形成された99mTcコンドロイチン硫酸鉄コロイドが肝集積の原因とされている。通常、ブルタールによる肝全体に強く均一に集積が認められることが多い。静脈内に投与されたブルタールは血清中から速やかに消失し網内系に貪食されるため、投与2時間後には投与量の10%程度に減少していると報告されており、呈示症例で、肝集積が淡かったのはブルタールと骨シンチとの静注間隔が2時間ほどあったためと考えられる。
- 文献
- Frederick L. Datz: Gamuts in nuclear medicine:164-168
- Chan H et al: Hepatic uptake of Tc-99m MDP on bone scintigraphy from intravenous iron therapy(Blutal). Clin Nucl Med 22:762-764,1997
- 田中茂子ら: 骨シンチグラフィーにおける肝描出の一原因. 核医学 20巻8号:1175-81, 1983
- 静注用鉄剤コンドロイチン硫酸鉄に関する臨床的ならびに基礎的研究. 臨床と研究41巻4号: 693-700, 1964
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Update: May 31, 2004