Case WN03: Case Report
成人T細胞白血病・リンパ腫
Adult T cell leukemia/lymphoma
- 症例
- 臨床情報
- WBC 37400、HTLV-抗体X2560、脾腫・腹部リンパ節腫大などにて成人T細胞白血病・リンパ腫を疑われる。
- 最終的に抗HTLV抗体陽性、末血のATL細胞出現、病変から抽出した高分子DNAにて、染色体DNAにHTLV-1プロウイルスが単クローン性に組み込まれていることをサザンブロット法にて証明され、成人T細胞白血病・リンパ腫と確定診断される。
- 核医学検査
- FDG-PETにて頸部、縦隔、腹部、骨盤、肝に異常集積を認めた。
- Ga scintigraphyも同様の部位に腫瘍集積を認めたが、FDG-PETより不明瞭であった。
- X線CT検査
- CTにて頸部、縦隔、腹部、骨盤にリンパ節腫大、肝腫瘤多発、がみられた。
- 考察
- 星らは、成人T細胞白血病・リンパ腫についてGa scintigraphyを用いて検討した。17/25例でGaにて腫瘍集積が検出された。Ga scintigraphyは成人T細胞白血病・リンパ腫患者検出に有用性があると報告した.(1)
- 木下ら(2)またFloresら(3)は成人T細胞白血病・リンパ腫へのGaの腫瘍集積を症例報告している。
- しかしながら、FDG-PETを用いた成人T細胞白血病・リンパ腫に関する報告はみられない。
- 陣之内らの経験によれば、慢性型の成人T細胞白血病・リンパ腫症例ではFDG集積はSUVで7程度と低いと考えられている.(4)
- 今回、我々は急性型成人T細胞白血病・リンパ腫においてSUV20高値を示し著明なFDGの腫瘍集積を認めた。また、Ga scintigraphyに比してFDG-PETではより著明な腫瘍集積性が得られた。急性型成人T細胞白血病・リンパ腫では、高いFDG腫瘍集積性があるのではないかと推測された。
- 以上により、取り分け急性型成人T細胞白血病・リンパ腫の診断においては、FDG-PETの有用性が示唆された。
- 文献
- Hoshi H, Jinnouchi S, Harada K, et al. Gallium scintigraphy in patients with adult T-cell leukemia lymphoma. Eur J Nucl Med. 1988;14:177-179
- Kinoshita T, Ishii K, Naganuma H, Endoh F. Ga-67 scintigraphy in a patient with adult T-cell leukemia /lymphoma. Clin Nucl Med. 1995;20:1102-1103
- Flores II LG, Nagamachi S, Nishi R, et al. Gallium-67 scintigraphy in the treatment and prognosis of acute adult T-cell lymphoma. Ann Nucl Med. 1998;12:105-108
- 陣之内正史編。血液疾患;FDG-PETマニュアル:検査と読影のコツ、インナービジョン社
*本症例については、後日、「核医学画像診断」誌に掲載されます
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Update: Dec 25, 2006