Case TT14
胸腺腫 (thymoma) (WHO分類B1型)
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- X-P:縦隔右側に巨大な腫瘤を認める。
- CT:前縦隔に均一に造影される腫瘤を認める。石灰化、脂肪は認めない。
- MRI:CTでみられた腫瘤は、T1,-低信号、T2, DWI-高信号を呈する。CTと同様に全体に均一な造影効果を認める。
- FDG-PET:縦隔腫瘍に均一な淡い集積を認める
- 症例解説
- 手術所見:密なリンパ球からなる胸腺皮質様の領域とリンパ球がやや疎でHassall小体の形成を伴う髄質様の領域が混在する腫瘍。正常胸腺と同様の組織像であるが、正常胸腺組織に見られる分葉構造はない。Type B1 thymomaとして矛盾しない。
- 小児前縦隔腫瘍における胸腺腫の頻度は大人と比べ低い。
- 小児縦隔腫瘍として頻度の高いリンパ腫や胚細胞腫では、FDG集積が高い症例の報告が多い。
- 胸腺腫はWHO分類でtype A,AB,B1,B2,B3に分類され、前3型が低リスク、後2型に胸腺癌を加えたものが高リスクとされる。低リスク胸腺腫におけるFDG集積は高リスク胸腺腫やリンパ腫などと比べ有意に低いとの報告があり、本例におけるFDG集積もこれに矛盾しないものであった。
- 胸腺腫は小児前縦隔腫瘍としてはまれだが、FDG集積が弱い場合には低リスク胸腺腫を鑑別に挙げる必要があると考えられた。
- 文献
- Rothstein DH, et al. Thymoma in a child: case report and review of the literature. Pediatr Surg Int 2005;21:548-551
- Luzzi L, et al. Role of fluorine-fluorodeoxyglucose positron emission tomography/computed tomography in preoperative assessment of anterior mediastinal masses. Eur J Card Thorac Surg 2009;36: 475-479
*本症例については、後日、「核医学画像診断」誌に掲載されます
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Update: Jun 17, 2011