Case TT13
後腹膜線維症
Retroperitoneal Fibrosis
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- CT:右尿管周囲に腫瘤を認める
- MRI:CTで認められた腫瘤は、T1、T2強調像にていずれも低信号を呈する。
- MRI T1強調 (左) 、T2強調脂肪抑制(右)
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- FDG-PET/CT:腫瘤にFDG集積を認める。
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- 臨床経過
- 症例:50歳代 男性
- 主訴:右水腎症精査目的
- 現病歴:
- 両下肢のむくみにて近医受診。超音波にて右水腎症を指摘されたが放置。
- その1年後、嘔吐、胸部圧迫感にて当院受診。超音波にて、両側水腎症を指摘される。
- 血液、生化学検査:BUN 36, Cr 3.3, UA 7.3, sIL-2R 1100
- 確定診断および治療方針決定のため、開腹生検が施行された。
- 本症例におけるステロイド治療前後のCT
- 病理所見
- 線維組織からなり、部分的に慢性炎症細胞浸潤を認める。
- 悪性所見は認められず、後腹膜線維症として矛盾しない。
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- 解説
- 後腹膜線維症は、後腹膜を中心に進行性の非特異的炎症細胞浸潤と膠原化した線維化病変を来たす疾患で、脂肪組織が線維で置換され、次第に周辺臓器の圧迫症状を呈する。
- 原因としては、悪性腫瘍、放射線照射、薬剤などが挙げられるが、原因不明の特発性のものが70%を占める。最近では、自己抗体、ガンマグロブリン血症、免疫複合体の検出、SLEや皮膚筋炎の併発により全身性の膠原病ではないかと考えられている。
- 50-60歳代の男性に多く、症状は尿管の狭窄・閉塞による腰背部痛、浮腫、乏尿が主である。
- 血液検査上は、腎機能障害、炎症反応が見られる。
- 治療法としては、活動期にはステロイド投与が、硬化期には、外科切除、ステント留置が選択される。
- 後腹膜線維症におけるFDG-PETの報告としては、病変部へのFDG集積およびステロイド治療後に集積低下といったものがある。
- 文献
- Vaglio A, et al. 18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography in the diagnosis and followup of idiopathic retroperitoneal fibrosis. Arthritis & Rheumatology 2005;53:122-125
- Sakamoto A, et al. 18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography in a case of retroperitoneal fibrosis. Int Heart J 2006;47:645-650
*本症例については、後日、「核医学画像診断」誌に掲載されます
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Update: Dec 25, 2006