Case TT10
利尿剤(スピロノラクトン)による女性化乳房
spironolactone-induced gynecomastia
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- FDG-PET: 胸部に左右対称性の淡いFDG集積を認める。
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- CTとFDGの比較: 追加CTにて両側乳腺の増生を認め、PETとの重ね合わせで、同部へのFDG集積が認識できる。
- 解説
- 女性化乳房は、男性における乳房の腫大で、生理的なものと病的なものに区別される。前者は新生児期、思春期に見られ、いずれも一過性である。後者は、さらに疾患によるものと薬剤性のものに分類され、疾患としては、以下のものが上げられる。
- 睾丸、副腎、下垂体、松果体といった内分泌臓器由来の腫瘍、
- 肺、肝、腎癌、
- 肝硬変、
- 糖尿病、
- 甲状腺機能亢進症など
- また、女性化乳房を来す薬物としては、多数の薬剤が知られており,
- H2 blocker(スルピリド、シメチジン)
- ジギタリス
- 利尿剤(スピロノラクトン)
- 降圧剤(ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤)
- 抗精神病薬
- 抗けいれん薬(フェニトイン)
- 抗真菌薬(グリセオフルビン)などがある。
- 今回の症例で、女性化乳房の原因となったスピロノラクトンでは、その代謝物がエストロゲン様作用を持ち、その作用が女性化乳房を引き起こすと考えられている。
- Fukuchiらは、スピロノラクトンが投与された慢性心不全患者で女性化乳房を来した症例を報告しており、FDG-PET検査時には、既往歴、投薬歴などを把握した上で読影をする必要があると考えられる。
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文献
- Fukuchi K, et al. Ga-67 citrate and F-18 FDG uptake inspironolactone-induced gynecomastia. Clin Nucl Med 2005;30:105-6
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Update: Apr 18, 2005