Case TT10

ワルティン腫瘍

Warthin's tumor

症例解説と読影のポイント

• 画像をどう読むか
  • FDG-PET: 両側耳下腺にFDGの強い集積を認める。
  • CT: FDGの集積に一致して、辺縁平滑な腫瘤を認める。比較的均一に造影され、一部造影されない領域は変性を思わせる。（変性部分はネット上の画像には掲載されず）

    Plain (Left) and CE (Right) CT

    

  • 唾液腺シンチ: RI集積は耳下腺のみならず、腫瘤にも認められる。ビタミンC負荷により、腫瘤へのRI貯留が見られる。

唾液腺シンチ右側面像: ビタミンC負荷前（Left）、後（Right）

• 解説
  • ワルティン腫瘍は全唾液腺腫瘍の約15%を占める疾患で、50-60歳の男性喫煙者に多く発生すると言われている。両側性、多発性に発生することが多く、その発育は緩徐である。画像所見としては、CTは今回の症例は比較的典型的な所見を示しており、MRIでは、T1,T2-low intensityで、造影にて中等度造影されるとされている。 ワルティン腫瘍におけるFDG-PETの所見であるが、これまで報告されているものでは、いずれも強い集積を示しており、悪性腫瘍の合併、既往がある場合には、FDG単独での良悪性の鑑別は困難と考えられる。ワルティン腫瘍におけるFDG集積の機序であるが、ワルティン腫瘍は組織学的に、１）ミ トコンドリアの豊富な腺管円柱上皮と２）リンパ間質からなり、いずれも活発な細胞の代謝、増殖を示すため、FDG集積が高くなっているものと考えられる。ただ、１)，２）のいずれがFDG集積に有意に関与しているかは明らかではない。
• 文献
  • Keyes R, et al. Salivary gland tumors:pretherapy evaluation with PET. Radiology 1994;192:99-102
  • Okumura T, et al. Fluorine-18 fluorodeoxyglucose positron emission tomography imaging of parotid mass lesions. Acta Otolaryngol(Stockh)1998;Suppl538:209-213
  • Horiuchi M, et al. Four cases of Warthin's tumor of the parotid gland detected with FDG PET. Ann Nucl Med 1998;12:47-50

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Update: May 24, 2004