Case TT04
傍腫瘍性辺縁脳炎
Paraneoplastic Limbic
Encephalitis
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- MRI:
T2,FLAIRいずれにおいても側頭葉内側に海馬領域に高信号を認める。
- IMP-SPECT:
MRIにて高信号を認める領域に血流増加を認める。
- 解説
- 1996年、後腹膜悪性リンパ腫にて化学療法施行、完全寛解を認めた症例である。退院時より、めまい、ふらつきを認め、その増強にて今回の入院となったが、MRI,SPECTの所見より上記診断名が疑われた。
- Paraneoplastic limbic
encephalitisは、悪性腫瘍の”遠隔効果”による側頭葉内側部を主病変とする亜急性脳炎と定義されており、病変は辺縁系のみならず小脳、脳幹、神経節などの神経病変を合併し、その部分症状で見られることが多い。小細胞癌、胚細胞腫での報告が多く、診断には抗神経抗体(抗Hu抗体、抗Ma2抗体)の関与が示唆されている。
- 画像所見としては、MRIにて側頭葉内側のT2高信号が特徴とされ、時に造影効果も見られる。また、FDG-PETでは、側頭葉内側の集積増加が報告されている。一方、脳血流SPECTでは、集積低下または異常ないという報告があり、トレーサーの種類、病変の時期によるものと推測されている。
- 本症例では、神経抗体は検出されず、悪性リンパ腫の再燃は指摘しえなかったが、症状、画像所見、既往歴よりparaneoplastic
limbic encephalitisと考えられた。
- 文献
- 朝比奈正人他:傍腫瘍性辺縁脳炎 別冊日本臨床2000;33:333-336
- Provenzale JM, et al. Limbic encephalitis: Comparison of
FDG PET and MR imaging findings. AJR
1998;170:1659-1660
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Update: Apr 30, 2001