Case TN06
菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- CT:肝門部や腹部大動脈周囲に腫大リンパ節を数個認める。
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- FDG-PET/CT:MIP画像で縦隔・腹部大動脈周囲に明瞭な集積を認め、腫大リンパ節に一致する集積を認める(左図)。フォローアップ1カ月後の画像では、右頚部・腹部に集積リンパ節の増加を認めた(中図)が、さらにその2カ月後、腹部リンパ節の集積は減弱し、両側顎下部、右肺門部リンパ節に集積が出現している(右図)。
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- 症例解説
- 腫大リンパ節生検所見:モノクローナルな異型リンパ節の増殖や肉芽腫の形成は認めなかった。核塵形成と好中球浸潤を認め、壊死性リンパ節炎の組織パターンが示され、菊池病と診断された。
- 菊池病は、原因不明の発熱を伴う、可動性・有痛性のリンパ節腫脹を認める。アジア・東南アジアに多く、欧米では稀。10歳代男児、20歳代女性に好発する(男女比1:1.6)。数週〜数カ月で症状は自然寛解する。リンパ節腫脹は腋窩・鼠径部に認めることもあるが、大部分は頚部を主とした浅部で認める。頚部リンパ節腫脹は小児でほぼ必発、成人では50〜90%。腹腔内など、深部リンパ節を侵襲するのは数例しか報告されていない。
- 病理所見により診断されるが、PETはリンパ節を含む全身を可視化するのに有益であり、生検に適した部位のリンパ節の決定に役立つ。また、SUVmaxは2.05-13.94と様々な値を示すが、頚部以外でのSUVはより低値であったとする報告もある。(Jpn J Radiol. 2010: 28; 15-19)
- 今回、菊池病でも稀な深部の腹腔内リンパ節に集積を認めた症例を経験した。臨床症状やFDG集積の広がりの評価は、菊池病の可能性を示唆すると思われる。
*本症例については、後日、「核医学画像診断」誌に掲載されます
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Update: July 15, 2011