Case NA02
肺がん(椎体転移を伴わない)
lung cancer without verteral metastasis
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- CT
- 左肺上葉S1+2末梢に34mm大の腫瘤あり。Th4椎体左縁にはerosionがみられ,軟部濃度陰影がTh5椎体左縁まで続いている。左第5肋骨上縁にもerosionがみられ,骨への浸潤を伴うものと考える。
- MRI
- 左肺尖部の不整形腫瘤から連続するようにして胸膜に沿った濃染を認める。Th4,Th5椎体左側及び,左第4,5肋骨の椎体側には脂肪抑制併用T2WIで高信号あり。左上葉肺癌の胸壁への進展による直接浸潤を疑う。
- 骨シンチグラフィ
- 骨転移を積極的に示唆する所見は指摘できず。両側大腿骨、脛骨のびまん性の皮質集積あり。
- Pulmonaryhypertrophicosteoarthropathyによる所見と考える。
- FDG-PET
- 左S1+2に不整形陰影を認め、FDGの高度集積を認める。腫瘍と連続する胸膜肥厚には淡いFDG集積が認め、胸膜浸潤は否定できない。椎体には明らかな集積は指摘できない。
- 症例
- 症例:40歳代 男性
- 主訴:多発関節痛
- 現病歴:上記主訴にて近医受診。精査中に胸部CTにて左上葉結節影を指摘された。
- 臨床経過
- 左肺針生検施行され、Adenocarcinomaと診断。左上葉切除+第3-5胸椎切除施行された。
- 病理所見
- 肉眼的には肋骨への腫瘍の直接浸潤が疑われたが、組織学的には、腫瘍の肋骨・椎体側には強い線維化を伴い、一部は瘢痕状で、炎症細胞浸潤や線維化を伴う肉芽組織も見られた。
- 髄腔内の線維化も見られるが、腫瘍の直接浸潤は見られなかった。
- 標本上、胸壁への浸潤はあると考えられるが、肋骨、椎体への浸潤はなく、pT3と考える。
- 画像診断のポイント
- 胸膜浸潤(T3)の診断においてはMRIが有効とされているが、本症例ではFDG-PET/CTでも同等の診断が可能であった。
胸膜を越える直接浸潤(T4)に関し、FDG-PET/CTとMRIで比較検討はされていないが、本症例においてはMRIと比較しFDG-PET/CTにてより正確なstagingが可能であった。
- MRIは浸潤範囲の診断にも有用であるが、PET画像と一致しない場合には、病態を含めた考察が必要である。
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Update: June 4, 2008