Case MT06
悪性リンパ腫 (Diffuse Large B Cell Lymphoma)
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- MIP像、フュージョン画像を見ると、右卵巣部分にはFDGの集積亢進を認めている。
- 左腋窩リンパ節・縦隔リンパ節・腹部Para-Aortaリンパ節・右内外腸骨動脈リンパ節にもFDGの集積亢進を認めた。
- 症例解説
- 右卵巣癌を疑うとの依頼であったが、FDG-PET画像からは卵巣癌のリンパ節転移である可能性は否定できないものの、腋窩や縦隔のリンパ節への集積を一元的に考えると悪性リンパ腫である可能性が示唆される所見であった。
- 後日、リンパ節生検により悪性リンパ腫(Diffuse Large B Cell Lymphoma)の確定診断が得られ、化学療法が開始となった。
- 下図は化学療法2コース後のFDG-PET画像である。この時点で、縦隔リンパ節以外のFDG異常集積部位はほぼ消失しており、化学療法は有効であるとの見地から化学療法を続行した。
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- 下図は化学療法4コース後のFDG-PET画像である。依然として縦隔内リンパ節にはFDG集積が残存しているが、そのほかの病変部位にはFDGの集積亢進は消失している。
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- 縦隔内リンパ節のSUVmaxは化学療法2コース終了後で4.5、4コース終了後で4.8であった。
- 他のリンパ腫病変へのFDG集積が消失していることから、縦隔内リンパ節のFDG集積亢進はリンパ腫病変ではなかった可能性が高いと考えるが、今後のfollow upが必要である。
- 今回の症例提示でのポイントは、検査依頼病名に囚われずに他の鑑別疾患を画像から推測しなければならないこともあるという教訓である。
- 検査を引き受ける画像センターでは頼内容のみで診断を下さなければならないことが多く、診断に迷うこともしばしばある。時には画像に立ち戻り、依頼とは異なる診断を思い切ってつけることも大事であると痛感した症例であった。
*本症例については、後日、「核医学画像診断」誌に掲載されます
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Update: Jun 17, 2011