Case KT08
ガーゼ遺残による異物肉芽腫
Foreign body granuloma
画像をどう読むか。
CT : 骨盤内に境界明瞭、内部は筋肉より低濃度、周囲にリング状の筋肉と同様の濃度の腫瘤を認める。
MRI : T1強調像にて内部等信号、周囲やや低信号、T2強調像にて内部高信号、周囲低信号、造影にて辺縁部に増強効果を認める。
FDG-PET/CT : MRIで造影された辺縁に一致しリング状の集積亢進を認める。
左上:plain CT
右上:FDG-PET CT
左中:T1weighted
右中:T2 weighted
左下:contrast-enhanced
症例解説
手術所見:腫瘤内部はガーゼが充満していた。腫瘤の辺縁部分にはガーゼの線維成分と思われる異物を認め周囲に多数の異物巨細胞を認めた。ガーゼ遺残による異物肉芽腫と診断された。
異物肉芽腫の正確な頻度は不明。手術1000〜3000件に1件程度発生するとの報告あり。骨盤部の術後に多い。緊急手術、術式の変更があった際、肥満患者の手術の場合、有意に高頻度に起こる。
ほとんど無症状。まれに膿瘍を形成する。腹部では腸閉塞、瘻孔形成を来すことがある。
異物肉芽腫の画像上の特徴はCTではspongiform pattern, MRIでのserrated contour, whored stripes, FDG-PETでのリング状集積亢進などが報告されている。
本症例のPET/CTでのリング状集積は腫瘤辺縁の肉芽腫への集積を見ていたものと考えられる。FDG-PETの所見は特異的でないが周囲に異物巨細胞の浸潤を認め肉芽を形成する異物肉芽腫の病態をよく反映したものと考えられる。FDG-PETにてこのような集積形態を認めた場合、異物肉芽腫を鑑別に挙げ病歴・手術歴を詳しく聴取する必要があると考えられる。
参考文献
Bani-Hani KE. et al. Retained surgical sponges (gossypiboma). Asian J Surg. 2005; 28: 109-15.
Gawande AA. et al. Risk factors for retained instruments and sponges after surgery. N Engl J Med. 2003; 348: 229-35.
Kalovidouris A. et al. Abdominal retained surgical sponges: CT appearance. Eur Radiol. 1999; 9: 1407-10.
Kim CK. et al. Gossypiboma in abdomen and pelvis: MRI findings in four patients. AJR Am J Roentgenol. 2007; 189: 814-7.
Nakajo M et al. 18F-FDG PET/CT findings of a right subphrenic foreign-body granuloma. Ann Nucl Med. 2006; 20: 553-6.
Back
Case Index
Nucl Med Home
Update: JUL 9, 2009