Case KT01
憩室炎,慢性腎不全に伴う胆嚢描出
Diverticulitis and gallbladder
visualization due to chronic renal failure
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- CT:上行結腸及びS状結腸の憩室を認める。(S状結腸の憩室についてはインターネット上での画像提示なし)
- 出血シンチ:上行結腸およびS状結腸部分での集積亢進(今回の出血シンチ24時間像)。今回および過去2回の出血シンチ24時間像で共通して見られる胆嚢の描出。
- 解説
- 1994年より慢性腎不全で透析を開始した患者である。1999年の3月、7月、8月に下血を認め入院精査を行ったが、出血原因不明(GTF、CF、小腸造影、血管造影、出血シンチのいずれの検査にても出血部位の同定に到らなかった)のまま自然寛解した。2001年3月19日、下血にて4度目の入院となった。
- 入院後もタール便/鮮血便を認めていたが、gastrofiberscopy(3/21)では食道に異常を認めず、びらん性胃炎の所見を認めるのみであった。colonofiberscopy(CF)(3/23および4/5の2回実施)では、上行結腸〜横行結腸〜下行結腸〜S状結腸にかけて複数の憩室を認めたが、CF施行時に出血は認められなかった。
- 入院後3/25-28にかけて鮮血を認め、hemoglobin(Hb)値も3/19の11.1g/dlから3/28には7.1g/dlへと大きく低下した。
- 臨床症状、Hbの低下及びCFの所見を考えあわせると、出血シンチ(3/29実施)で認められた結腸部分での集積亢進は憩室からの出血を示唆していると思われる。
- また、今回および過去2回の出血シンチ24時間像で認められた胆嚢の描出は、本症例の患者の慢性腎不全という病態から生じたものと思われる。慢性腎不全の患者に対する出血シンチでは胆嚢の描出が見られることがあり、これまでも複数の報告がなされている。
- 慢性腎不全患者では、尿毒症性物質による赤血球寿命の短縮が起こる。老朽化して溶血した赤血球中のTc-99mで標識されたヘモグロビンは、肝臓でクッパー細胞によって貪食され、Tc-99mで標識されたヘムとTc-99mで標識されたグロビンに分解される。Tc-99mで標識されたヘムはさらに分解され、Tc-99mで標識されたビリルビンとなり、これが胆汁として排泄され胆嚢で蓄積濃縮されて描出されることになる。
- 文献
- Wood MJ,Hennigan DB: Radionuclide tagged red blood cells in
the gallbladder. Clin Nucl Med 9:289-290,1984
- Brill DR: Gallbladder visualization during Tc-99m labeled
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Med 26:1408-1411.1985
- Kotlyarov EV,Mattay Vs,Reba Rc: Gallbladder visualization
during Tc-99m RBC blood pool imaging. Clin Nucl Med
13:515-516,1988
- Abello R,Haynie TP,Kim EE: Pitfalls of a Tc-99m RBC
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Gastrointest Radiol16:32- 34,1991
- Caslowitz P,Achong DM: Early gallbladder visualization
during Tc-99m RBC scintigraphy. Clin Nucl Med
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- Yudt WM,Silverman ED,Kisltler AM: Scintigraphy detection of
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- Sicart SV,Lomena F,Setoain FJ,Herranz R: Gallbladder
visualization on RBC scintigraphy. Clin Nucl Med
21:660,1996
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Update: Apr 30, 2001