Case KS11
肝限局性結節性過形成,左副腎腺腫
Focal nodular hyperplasia of the liver, Left adrenal adenoma
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- CT
- 下大静脈を腹側に圧排する3cm大の肝内SOLを認める。右副腎との境界が不明瞭な部位あり。造影早期より全体が強く増強され、遅延相でも染まりが持続。また左副腎に22mm大の低吸収腫瘤を認める。
- I-123-MIBG
- I-131-adosterol
- 左副腎腫瘤に高集積を認める。右副腎は正常に描出。肝SOLに集積なし。
- FDG-PET
- 肝SOLに異常集積なし
- 左副腎腫瘤には早期相でSUVmax=12.8の強い高集積を認めるが、遅延相での集積変化はなし。
- 症例
- 50歳代 女性
- 主訴:特になし
- 現病歴: 検診にて肝SOLと左副腎腫瘤を指摘され精査となる。
- 検査所見: アドレナリン、ノルアドレナリン、ACTH、コルチゾール、アルドステロンはすべて正常範囲内
- 診断に至るまでの経緯
- CTおよびMRI(非提示): 所見から左副腎腫瘤は皮質腺腫と考えられたが、肝SOLについては肝由来か右副腎由来か判断できず、肝由来であればadrenal rest tumorやFNH、副腎由来であれば褐色細胞腫、副腎癌などが疑われた。
- MIBGが肝SOLおよび左副腎腫瘤に集積しなかったことから褐色細胞腫の可能性は低いと考えられた。
- Adosterolは左副腎に高集積となり、右副腎組織の正常集積もみられたことから血液検査所見と併せて非機能亢進性腺腫と考えられた。肝SOLには集積しなかったことからadrenal rest tumorの可能性は低いが、副腎癌の可能性は否定できないと考えられた。
- FDG-PETでは左副腎腺腫に高集積となったが、肝SOLには集積がなく、副腎癌は否定的な所見である。
- 以上より肝SOLはFNHではないかと考えられ、SPIO-MRIを施行、腫瘤内にクッパー細胞の存在が示されたためにFNHと診断された。現在は経過観察中である。
- 画像診断のポイント
- 鑑別診断にあがった肝adrenal rest tumorは今回の部位が好発部位である。組織学的には副腎皮質腺腫であり、adosterolが集積する可能性が高いと考えられる(ただし文献的報告はみあたらない)。
- 副腎癌の可能性をFDG-PETが否定。
- クッパー細胞の画像的証明はSPIO-MRIで。
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Update: June 4, 2008