Case KI01
Cerebrotendinous
xanthomatosis
脳腱黄色腫症
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- 脳血流SPECT:
小脳のびまん性血流低下がある。
- 脳MRI:
内包、小脳半球など皮質下にT1でiso-low intensity、T2でhigh
intensityな病変を認める。
- 下肢X-P、下肢MRI:
アキレス腱の著明な肥厚が認められる。
- 解説
- 小脳のびまん性血流低下を示す疾患としては、脳血管障害や外傷、小脳変性症があり、遺伝性疾患としては小脳変性症が多い。しかし、希な代謝疾患の中に本症の様な脂肪代謝疾患が含まれる。
- 脂肪代謝疾患に特徴的な腱の肥厚(黄色腫)が認められるに関わらず、血中コレステロールやトリグリセライド濃度が正常な時、本疾患が疑われる。通常は30歳以前の若年発症で黄色腫と小脳失調、記憶障害が前面に出る場合が多いが、精神神経症状は多彩である。
- 肝ミトコンドリア酵素であるC27-steroid-26-hydroxylaseまたは24S-hydroxylaseの欠損によりコレステロール代謝経路において胆汁アルコールから胆汁酸が合成されずにコレスタノールとなって組織に蓄積することが主因である。血清中のコレスタノール高値と尿中胆汁アルコール高値で確認される。
- 脳の病変はコレスタノール蓄積から二次的に生じる脱髄であると考えられている。脳血流SPECTで小脳の機能変化を客観的に捉えられた。
- 治療はケノデオキシコール酸の大量投与である。本症例では治療により精神神経機能の著明な改善を見た。
- 非常に希な疾患ではあるが治療可能な痴呆疾患の一つとして早期診断が大切な疾患であり、神経放射線診断の鑑別診断に加えておくべきものと考えられる。
- 解説
- Berginer VM, Salen G, Shefer S. Long-term treatment of
cerebrotendinous xanthomatosis with chenodeoxycholic acid. N
Engl J Med 1984;311:1649-1652.
- Barkhof F, Verrips A, Wesseling P, et al. Cerebrotendinous
xanthomatosis: the spectrum of imaging findings and the
correlation with neuropathologic findings. Radiology
2000;217:869-876.
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Update: Jan 7, 2002