Case KD02
ファントム腎
Phantom Kidney
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- Tc-99m DTPAシンチグラフィ:右腎について、血流は残存しているが皮質機能が高度低下または無機能に近い状態が考えられる。
- 皮質機能の低下のわりに血流が比較的保たれており、急性尿細管壊死が鑑別診断の一つとして挙げられる。
- 臨床経過
- 症例:70歳代 男性
- 主訴:頚髄症の術前腎機能評価目的
- 解説
- 右腎について、血流は残存しているが皮質機能が高度低下または無機能に近い状態が考えられる。
- 皮質機能の低下のわりに血流が比較的保たれており、急性尿細管壊死が鑑別診断の一つとして挙げられる。
- また、視点を変えると、右腎のあるべき部位に血流の豊富な構造物が存在すればこのような所見を呈することがある。いわゆる、Phantom Kidneyである。
- 他の画像検査にて右腎の有無を確認すると、右腎がなく代わりに腸管が入りこんでいる所見を認めた(MRI)。
- 右腎癌にて右腎摘出の既往があり、腸管の血流があたかも血流相で腎臓のように見えたものと考えられた。
- Phantom Kidneyとは、片腎(先天的or後天的)患者に腎シンチグラフィを施行した時に見られる、血流相にて腎の存在しない部位にあたかも腎があるように見える所見のことをいう。
- Merimskyらは、腎摘後患者39例にTc-99m DTPAシンチグラフィを施行したところ17例にPhantom Kidneyの所見が見られたと報告している。原因としては、腸間膜の血流(特に食後)、豊血性腫瘍、低位置の脾臓などが考えられる。
- 文献
- Mochizuki T, Charron M, Shah AN, Tauxe WN. Phantom kidney: a CT correlation. Ann Nucl Med. 1991;5:163-165.
- Merimsky E, Greenstein A, Baron J, Braf Z. Phantom kidney--a pitfall in radionuclide study of urinary tract. Urology. 1987;30:85-87.
- Kosuda S, Kusano S. Tc-99m DTPA uptake in malignant fibrous histiocytoma masquerading as a phantom kidney. Clin Nucl Med. 1999;24:200-201.
- Holmes ER, 3rd, Klingensmith WC, 3rd, Kirchner PT, Wagner HN, Jr. Phantom kidney in technetium-99m DTPA studies of renal blood flow: case report. J Nucl Med. 1977;18:702-705.
- Chu DD, Belzberg AS. Phantom kidney on renal scintigraphy. Clin Nucl Med. 1991;16:62-63.
Back
Case Index
Nucl Med Home
Update: Jun 24, 2009