Case IK02
腹膜中皮腫
Peritoneal mesothelioma
症例解説と読影のポイント
- 画像をどう読むか
- Ga-67:膀胱より頭側(正中やや左より)に強い集積が見られた。
- FDG-PET:骨盤腔内に強い集積あり。Gaと異なり右側に見られた。
- CT:骨盤腔内左側に約40?大の腫瘤性病変を認めた。造影では均一に染まり、石灰化は認めなかった。
- MRI:CTで見られた病変は右側へ移動しており、T1WIで等信号・T2WIで低信号を基本とし嚢胞様構造も伴っていた。
- Angiography:回腸枝末梢に経時的に暫増性に染まる腫瘍が見られた。
- 解説
- 本症例の検査所見はHb7.9g/dl、CRP 11.2mg/dl、腫瘍マーカーは正常範囲内であった。
- 画像所見ではCT・MRIで骨盤内を左右に移動する腫瘤性病変が認められ、小腸あるいは腸間膜由来の腫瘍が疑われた。
- 血管造影で上腸間膜動脈回腸枝末梢に腫瘍濃染が認められ小腸あるいは腸間膜由来の腫瘍であることが確認された。
- MRI-T2WIで低信号を示し、血管造影で暫増性に染まることから繊維成分を多く含む腫瘍が考えられた。
- 外科的切除が行われ中皮腫と診断された。なお、組織学的に悪性を示唆する所見はなく腫瘍周囲に炎症細胞の強い浸潤が見られた。
- Ga・FDGの強い集積は炎症所見を表しているものと考えられた。
- 中皮腫は胸膜・腹膜・心膜といった体腔を覆う中皮細胞を由来とする腫瘍で良性中皮腫と悪性中皮腫とがある。腹膜に発生するものは中皮腫全体の約20〜30%を占める。良性中皮腫は殆どの例で腹膜に付着した限局性で乳頭状の小腫瘤として偶然見出される。悪性中皮腫と異なりアスベスト吸引との関連はない。
- 文献
- Thomas N. Eade,et el.Primary Malignant Peritoneal Mesothelioma Appearance on F-18 FDG Positoron Emission Tomographic Images.Clin Nucl Med.27:924-925,2002.
- Radiology Review Manual 5th Edition
- 外科病理学 .文光堂
- Nancy O.Whitley et el.CTof Peritoneal Mesothelioma:Analysis of Eight Cases.AJR 138:531-535,1982.
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