Case IA01
ランゲルハンス細胞組織球症(異常増殖症)
Langerhans cell histiocytosis
症例解説と画像の読み方
- 症例
- 主訴
- 現病歴
- 20XX年6月ごろより特に誘因なく腰背部痛が出現した。
- 5月6日にA病院受診し、NSAIDsで様子見るも痛み軽快せず。
- MRIにてTh11の脊椎腫瘍と診断され、当院整形外科紹介受診となった。
- 生化学
- 診断
画像の読み方
- 頭部MRI(単純、造影):左側頭骨,左蝶形骨,左頬骨はT1強調像低信号を呈し,周囲に増強効果を有する腫瘤を形成している。頭蓋内に突出し脳実質を圧排するがmass effectは軽度。正中偏位なし.脳実質には異常信号なし.また左眼窩内にも突出し外眼筋を内側へ圧排している。斜台や蝶形骨など広範な頭蓋底部にも大きな腫瘤形成は認めないがT1強調像低信号域が広がっている.髄膜は広範に肥厚している(特に左側,頭蓋底部)。
- CT:左肩甲骨,Th11椎体,右坐骨には,溶骨性変化あり。
- 骨シンチ:頭蓋骨の鼻部、左眼窩上外側、左肩甲骨、右股関節臼蓋部、第11胸椎に集積。
-
- Tlシンチ:有意な集積は指摘できず。
- Gaシンチ:左眼窩部、左肩甲骨、右股関節に集積。
臨床経過
解説
- 好酸球性肉芽腫症(Eosinophilic granuloma: EG)、Hand-Schuler-Christian病 、Letterer-Siwe病の3疾患は 、病変の部位 ・程度 、罹患年齢に相違はあるものの 、いずれもLangerhans細胞(組織球histiocyte)の浸潤 ・増殖を共通の組織学的特徴とすることから、Langerhans細胞の異常増殖症(Langerhans cell histiosytosis: LCH)とみなされている。
- 本症例であるEGは、LCHの症例の約60-80%に相当する。年長の小児と青年に,通常30歳までにみられる。やや男性に多い。罹患率のピーク年齢は5-10歳である。
- 本症が最も骨病変を認めやすく、疼痛として出現し、単純X線にて病変部に骨透明巣、骨膜反応を認める。
- 長管骨では骨幹部に好発し、脊椎に発症した場合は、椎体が押しつぶされて扁平となる(Calve扁平椎)。
- 若年患者において画像上骨溶解像を認めた場合は、LCHを鑑別診断の1つとして考慮すべきである。
本症例の解説は、「核医学画像診断誌」に掲載されます。
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